事業承継税制 (続)

2008年12月に与党の「平成21年度税制改正大綱」が決定公表され,「事業承継税制」が具体化しました。
今回の改正による計算はやや複雑なものになっているので、この納税猶予額の計算を具体例を説明します。

1 納税猶予制度の概要

事業の後継者が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等により自社株を取得し、その後もその会社を経営していく場合には、納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(発行済議決権株式総数の2/3以下の部分)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
5年間事業を継続し、その後も死亡時まで株式を保有し続ければ、最終的に猶予税額の納付が免除されます。

2 具体的計算例

相続人A(事業承継者): 対象株式200,000千円、株式以外50,000千円、計250,000千円
相続人B: 株式以外250,000千円

(単位:千円)

項 目  通常の相続税計算  納税猶予額の計算
Aが株式のみ
(200,000)を取得したと仮定
(Bは不変)
Aが株式の20%のみ
(40,000)を取得したと仮定
(Bは不変)
 取得財産 250,000 200,000 40,000
250,000 250,000 250,000
500,000 450,000 290,000
 基礎控除 (相続人2人) -70,000 -70,000 -70,000
 差引課税遺産総額 430,000 380,000 220,000
 法定相続分 (1/2) 215,000 190,000 110,000
 同上の税額 (累進税率) 69,000 59,000 27,000
 税額の総額 (×2人) 138,000 118,000 54,000
 各自の税額
(取得財産で按分)
69,000 イ)  52,444 ロ)  7,448
B(納税猶予なし) 69,000 Aの納税猶予額(イ-ロ)  44,996

上記の例では、Aさんは69,000千円の相続税のうち約45,000千円の納税猶予を受けることができます。
このようにこの制度には大きなメリットがありますが、不動産賃貸業のような資産保有会社が除かれるなどのさまざまな制約がある他、5年間事業継続などの要件を満たさなくなった場合に納税猶予額全額に利子税を加算して納付しなければならないなどのリスクもあり、慎重に検討する必要があります。